インプラント 費用に理解を深めよう
顎の骨に人工歯根を埋め込むわけですから、患者さんの歯槽骨が、それを受け入れるだけの十分な厚み・高さ.固さ・形態を備えていなければなりません。
かつては、「顎の骨の状態がよくないから、インプラント治療には不適」と治療を断られる患者さんが多くいらっしゃいました。
しかし現在では、骨を増やす「骨増生(こつぞうせい)」として骨移植法、骨再生誘導法、歯槽骨延長法、再生療法などが開発されていますので、よほど全身状態が悪くないかぎり、治療は可能になっています。
次いで、歯周病の診査である、「歯周ポケット」の測定を行います。
これは多くの患者さんが歯周病を発症しているケースが多いからです。
ご存知のように、歯と歯肉の間にできる凹みが歯周ポケットで、病状が悪化するにつれこのポケットは深くなり、細菌の巣窟になってしまいます。
歯周病がある場合は、インプラントの診査・診断・治療計画と並行して、歯周病の治療をまず行います。
また、他に虫歯があれば、当然、こちらの治療が優先されます。
同時に、プラーク(歯垢Ⅱしこう)のチェックも行います。
これは常日ごろの口腔ケアが、うまく行えているかどうかを調べるものです。
残された歯は、できれば一生使っていただきたいと、私はすべての患者さんに願っています。
一本たりともおろそかにはできません。
食後の歯磨きが正確にできるように、私たち歯科医師や歯科衛生士が指導します。
歯ブラシによるブラッシングだけでなく、電動歯ブラシやデンタル・フロスの使用法についても説明します。
これを正しく身につけることで、インプラントや残されたご自身の歯のメインテナンス(手入れ)にも役立ちますから、ぜひ正しい歯磨き法をマスターしていただきたいものです。
なお、「歯石」(主に唾液や血清のなかに含まれる無機塩類が歯の表面に沈着し石灰化したものです)ができてしまった場合、この歯石にプラークがつきやすくなり、細菌の温床になってしまいます。
こうなると、日常の口腔ケアでは手におえません。
金属製の器具や超音波スヶーラーなどで除去することになります。
これを「スケーリング」といいます(インプラントを埋入したあとに、インプラントについた歯石を取り除くときは歯槽骨の状態を把握するために、エックス線を用いた画像診断を行う必要があります。
主に、パノラマエックス線(口腔内の全体を観察する目的で行います。
大きなフィルムを装着して外側から撮影します)と、デンタルエックス線(局所を見るために行います。
薄いフィルムを口腔内に入れて撮影します)で、最近では、これらのフィルムのかわりにコンピュータを用いたデジタルエックス線システムも開発されています。
さらに、必要に応じてエックス線CT(顎骨および口腔内の、より精密で立体的な情報を得るために行います)による診査を行い、顎骨の状態を把握して、骨質・骨量・形態などを立体的に観察します。
一般的には医科用エックス線CTを使用していますが、最近では小型化された歯顎顔面用コンビームエックス線CT装置が開発されてきており、より短時間(約一○秒)で被爆量が少なく高精度の多断層撮影が可能となってきています。
術前のエックス線診査としては、特に上顎の切歯管(せつしかん)・鼻腔・上顎洞(じようがくどう)などの位置を確認し、下顎の下顎管(かがくかんⅡ神経と動・静脈が通っています)・オトガイ孔(こう)の位置などを確認します。
これらの診査によって、使用する人工歯根の形状・長さ・太さなどを診断し、また、歯槽骨が吸収されている場合では、骨移植などの手術の必要性に関しても診断することとなります。
患者さんのニーズに合った最良の治療を選択していただくということです(これを専門用語で「インフォームド・チョイス」といいます)。
あくまでも治療を選択して決定するのは患者さん自身なのです。
まったく歯がない状態での治療計画は簡単なのですが、例えば歯が一本または数本残っている場合や、上下の噛み合わせがよい場合や悪い場合、歯周病が軽度の場合や重度の場合など、さまざまな状況があるということです。
そして同じような欠損状態でも、患者さんのニーズはさまざまであり、早く抜歯してインプラントで噛めるようにしてもらいたいと考える人もいれば、できるだけ自分の歯を残してもらいたいと考える人もいらっしゃいます。
また、インプラントの上部構造の選択に関しても、審美的なことを最も重要視している人もいれば、機能性を重視して噛むことができればよいと考えている人もいますし、費用面でできるだけ安価な方法を考えたい人もいるかと思います。
ですから前にも述べたように、カウンセリングにより患者さんのニーズを把握することが、治療計画にはとても重要なことなのです。
最終的なできあがりを想定した仮の補綴物を作製患者さんの歯型をとって石膏を流し込み、それを咳く口器に装着して「診断用模型」を作製します。
これは実際の口腔内を、視診や触診で調べた状態よりもさらに詳細に、残された歯の歯列(歯並び)、噛み合わせ、歯肉の状態、顎骨の状態などの情報を得るために行うもので、実際にインプラントを埋入したときに、噛み合わせなどで不都合が起こらないための診査です。
もしも残っている歯の状態や歯並び、噛み合わせがよくない場合は、まずは極力それらの改善を行った後に、最終的なできあがりを想定した仮の補綴物を作製します。
それを患者さんの口に装着してもらい、上下の噛み合わせや審美性が十分に満たされた場合に、それを基に最適な場所にインプラント埋入の治療計画を立てることになります。
これも、実際に人工歯根を埋入する前に行うシミュレーションの一環です。
こうしてあらかじめ、さまざまなシミュレーションを行い、インプラント治療のための準備段階を終えておきます。
こうしておくことで、埋入する人工歯根の種類・サイズ・本数・位置・方向などが想定でき、可能なかぎりの手術時間の短縮、そして安全性が確保されます。
これを専門用語で「トップダウン・トリートメント」といいます。
インプラント治療の成功の秘訣は、正確な診査・診断と綿密な治療計画にあるといっても過言ではありません。
機能面・審美性の両面で患者さんに満足していただくには、前にも述べたように最終的なできあがりを想定した「暫間補綴物」の作製がその成功の第一歩です。
やや専門的になりますが、私の場合、このシミュレーションをより完壁なものにするため、「治療計画」の後に、コンピュータを使用して以下のような方法をとっています。
最近、「聖宮宅置昌(以下「シム・プラント」と表記します)」というシミュレーションを取り入れたコンピュータ・ソフトが開発されています。
前記の要領で「暫問補綴物」を作製した後、それを模倣した形の「診断用ステント」を作製し、それを患者さんの口腔内に装着していただき、しっかりと噛みしめた状態でCT撮影をします。
そこで得られた情報を画像処理し、コンピュータ画面上にシム・プラントを利用して、いろいろな角度からの画像を組み合わせて、多平面および立体的にインプラント埋入のためのシミュレーションをするものです。
以下のような手順で行います。
顎骨を立体的に詳細に観察する。
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